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世界の神話

目次

  1. 各都市の代表的な神々
  2. 黄金の威力
  3. ジバルラの神話
  4. アダパと南風の話
  5. ズウ鳥の神話
  6. 「鷲と蛇」の神話
  7. 月と悪魔
  8. イシュタルに捧げる讃歌
  9. 神話名
  10. 神話名
  11. 神話名

神名リスト

神名別名詳細
エア神(エンキ、ルガル・イダ、ヌジムムード)海港エリド市の守護神
魚の形をしている
下部は人間の足
魚の尾をもっている
水の神、深淵の神
水は海水ではなく淡水
妻は女神ダムキナ(ニンキ)大地の女神
二神の子はマルズーク(メロダック)でのちにベルとなった神である
魔法の神で、魔法使いの保護者とされた。
バビロニア後期では神々の最高の地位に引き上げられている。全バビロニアの大神。智慧と仁慈の神、収穫と水を与えると人々に限りない恵を垂れるといわれる。同時に病を癒す神、芸術の守護神。
エンリル神(古ベル神) スメル(シュメール)とアッカドの境のニップル市の主神
暴風の神、または戦の神
エア神とアヌ神に同じく「天地の王」
ニップルにはエンリルの宮があり「山の家」「山のごとく」と訳される
バビロニアのメロダック(ベル・メロダック)と区別するため古ベル神という
バビロニア後期ではメロダックがエンリルの別名ベルを奪った感がある。エンリルの名は諸王の言葉に見いだされる。広く一般的な信仰を得た。
アヌ神 エレク市の神、天空の神
エア、エンリルの上座にいる。エンリルの父神といわれる
七つの怪物を使者としている
エア・バニ
エレクの町が敵に囲まれたとき助けに来た。
エン・ウェ・ツル・アン・キ
シッパル市の高僧。シャマシュの名を高めた。
ギルル、ギッシュ・バール、ギビル、ヌスク火の神として崇められるもの 火は魔法を使うときに用いられる。悪魔を撃退したり、病魔を退散させるため。
神にささげる人間を火に通していた。
ヌスクは神々の使者、命令の伝達者
エリドの人は日と月はエアの深淵の永久不滅の火からでたと信じていた。
月神ナンナル、シン月の神としてあがめられるもの 南方スメルの国のウル市を中心に信仰された
スメリアで月神は人間の友達と信じられた
自然を支配して豊饒をきたすもの。
太陽神の父で偉大な角と完全な四肢を持つ去勢牛と信じられていた
ナンナル=「光を出すもの」夜の恐怖を克服する日の力を表す。月の魂は月の石に住み樹木や作物にも入るという信仰。
ナンナルの子供、兄「マーシュ」妹「マシュツ」
ナンナルはメジア王アルタイオスの部下として物語られる(黄金の魔力参照)
ナンナルの配はニン・ウルワ、ニン・ガラ
タンムーズ太陽の神として崇められるもの 春の太陽の人格化されたもの
イシュタル、エレシュキガルに愛された若い牧羊者。
夏の焼くような太陽は破壊者、惨殺者として描かれ、戦の神といわれている。
農業の神、エアの家族の一人でほかにはメロダック、ニラ、世界の破壊者キ・グルラ、早耳ブルヌンタ・サ、神託の神バラ、とバラグルラ、妹の女神キ・ジンメ・アザガ(ベリト・シェリ)。タンムーズはこの一族の家長
人間に作物を作ること、果樹を栽培することを教えた。
賛歌に「卓抜な天の牡牛」と呼ばれて犠牲として純白な子山羊を供えられた。一年のある期間を地上に牧神として生存してイシュタル女神の愛人として女神の竉愛を受けて、期間が過ぎると、黄泉の女王エレシュ・キ・ガルの許へ行く。
タンムーズはギリシア神話のアドニスでこれを殺したのはニン・シャク。ニン・シャクは太陽の破壊力を人格化したもので、戦いの神、「野猪の王」という意味。
イシュタルがタンムーズの死期に歌った歌「おお英雄よ、私の夫よ、おお私は!私はこう申し上げましょう。私は物も食べません。私は水も飲みません・冥府の国にいらっしゃる尊いお方ゆえに、輝かしい、ほんとに輝かしいお顔のお方ゆえに。冥府の国にいらっしゃる尊いお方ゆえに、鳩のような、ほんとに鳩のようなお声のお方ゆえに。」
六月二十日から七月二十日まで暑さと乾燥の時に哀悼が行われ嘆きの歌が謳われる「彼は行ってしまった、大地の胸へと、行ってしまった。そして大地には死人が多い。人々は悲しみに満たされている。人々は昼日中陰鬱によろめいている。あなたが行ってしまわれた月は、平和をもたらすことはない。あなたは人々の終焉を告げる旅へと行ってしまわれた。」
タンムーズの殺された歌「イシュタルの聖なる方よ、野原の末枯れる年の最中に。牧人よ、賢人よ、悲しみの人よ、彼らはなぜに殺したのだろう?彼の神殿に、彼の住まっていた国に。あの児は、智恵の主は、もはや住まない。牧場の中に、ほんとに、ほんとに、生命の魂は枯れる。」「哀哭は草のためだ。最初の嘆きは、「草は生まれ出ない」ということだ哀哭は穀物のためだ。穂は実を結ばない。哀哭は人間のためだ。もはや引き出されぬ家畜のためだ。哀哭は亡くなった既婚の人々のためだ。亡くなった子供たちのためだ。頭の闇になった人間は、もはや何も創り出さない。」「牧人のように、羊や牛の見張所を、彼は捨てて行った。彼の家から、彼の棲んでいた国から、あの子は、あの利口者は、優れた天の牡牛は。勇士は冥府の牧場へと道をとった。」「いつまで、青緑の発生は止められるのであろう?いつまで、樹々の葉は抑えられているのだろう?」
タンムーズは黄泉がえり子供として生まれてきて、短い間に成人する。春の太陽として冬の暴風の悪魔を打ち破って現れる戦士。
ニニプ太陽の神としてあがめられるもの 戦の神。大地の精霊たちに戦いを仕掛ける。異国の神を非常に敵視する。
エンリルの子、父神ですら恐れている。ニップルに進軍したときエンリルは使者ヌスクを遣わせニニプの怒りを優しく沈めた。
野牛の形であらわされている
ネルガル太陽の神として崇められるもの 酷熱を下して、病気、疫病、その他あらゆる不幸を齎す。
死の王、エレシュキガルの夫
巨大な獅子の姿をしていて、人間の血に飢えている。
クターの町の主神であった。クターの町は有名な墓地の側にあった。
ネルガルの変形としてジバルラという太陽の破壊力を表す神がある。
太陽神シャマシュ太陽の神として崇められるもの アッカドのシッパルとスメリアのラルサでバッバルとともに守護神として崇められた。
運命の神、生者使者の王、法律を与える神、正邪善悪を審判する正義の神。
すべてのことを見、人間の心も見抜く神。
またミトラとも呼ばれている。(リグヴェーダのミトラ、ペルシャのミトラと同一?)アッシリア語でメトルは雨。ミトラは天空の水と関係がある。
バビロニア洪水伝説で天から雨を降らす時期を決めた。ピル・ナピシュチムに船の中へ入って、扉を閉めるように命令した。
シャマシュの配はアア、従者はキッツ(真理)、メシャル(正義)
女神ニン・サン太陽の神としてあがめられるもの エレク市でアヌの神殿の中で祭られている。
ニン・スンはイシュタルと関係があって、スメリア人はナナと呼ぶ。
このほかにバビロニアにはアマ(ママ、マニともいう)女神があって、「人間の種子の創造主」といわれていた。
ラムマン雷の神としてあがめられるもの どこの神殿にも属していない。ニップル市ではエンリルと同一視されている。
槌を持った神としてセム族によって、山地から輸入された。
風と雷の神で雨を降らす、作物の神、戦の神。
ネルガル神に付く悪魔悪魔、妖精、幽霊悪魔的な側面、性質。不健康、日射病、倦怠、破滅の精霊を連れている。
アヌ神悪魔、妖精、幽霊寒さと、雨と、暗黒の悪魔を産んだ
エア神悪魔、妖精、幽霊エア神と妻ダムキナ神は悪魔や巨人に従われている。夜になると荒涼とした寂しい場所で、人間襲い取って食べる。エア神の住居、大洋の底に七匹の悪魔を養っている(大口を開いている龍、子供を取って食う豹、巨獣、恐ろしい蛇など)
梟の悪魔悪魔、妖精、幽霊死人の幽霊や悪魔は、男女に限らず鳥の形をとる。闇の中で梟が陰鬱な鳴き声を上げるのは死んだ母親の精霊が残された子供を思って泣くといわれる。
蝙蝠の悪魔悪魔、妖精、幽霊幽霊や悪魔は蝙蝠の形をして、暗い街を飛び回る。留守の家を襲ったりもする。
ラマッス悪魔、妖精、幽霊人頭の翼牛で宮殿を守っている。
シェズ悪魔、妖精、幽霊破壊的な牡牛、やたらに人を殺す性質で、神殿を守っている。
リルまたはリラ悪魔、妖精、幽霊恋をしかける若い女怪。目当ての男を手に入れると、山間などに永久に隠したりする。
ラバルツ悪魔、妖精、幽霊山や沼沢を歩き回る女性で、子供を苦しめたり、盗んだりする。子供たちは首に護符をかけてそれを防いでいる。
ミュルラ悪魔、妖精、幽霊牡牛の形の悪魔。イシュタル神の牡牛と関係がある。
死人の幽霊悪魔、妖精、幽霊 精霊の最も代表的なものは死人の幽霊。特に正常に葬られない死人の幽霊は恐ろしいとされている。最も恐ろしいのは産褥でなくなった女の幽霊。悲しみで気が狂い、暗の中で泣き続ける。穢れが毒素のように体に付きまとう。
他に未婚の男女、子のない人々、戦場で死んだまま埋葬されない人、砂漠で餓死し土をかぶせられない旅人、水から挙げられた水死人、餓死させられた罪人、死刑に処せられた罪人、寿命の尽きないうちに突然死んだ人。人が死ぬと幽霊となり町々をさまよい歩いたり、家々に入り込んだりして、食物の残りや水をあさらないように飲食物を供える。
山、砂漠、河、海の悪魔悪魔、妖精、幽霊これらの悪魔は豚、山羊、馬、獅子、紅鶴(とき)、大鳥、鷲などにとりつく。
大暴風雨、火、破壊の七つの悪霊要素大海の底に棲んでいる。神の力を借りなければ人間には決して取り鎮めることができない力を持っている悪魔もいる。性を持っていない、子供もなく、憐憫や同情の気持ちは全くない。どこへでも入り込んで行く。
彼らをうたった歌「高い囲も、広い囲も、洪水のごとくに彼らは通り抜けて、家から家へと、飛び回る。如何なる戸も締め出すことはできず、如何なる閂も追い返すことはできない。蛇のように戸を潜り抜け、風のように閂を抜けて押し込んできて、妻を男の抱擁から奪い取り、しもべらを家庭から追い立てる。この悪魔は、決して人間ばかりを襲うのではありません。彼らは鳩を小舎から駆り出し、鳥を巣から追い立て、貂を穴から追い出す・・・彼らは夜物凄い町をさまよい歩き、羊の囲を、牛の小舎を、叩き潰し、国中を、戸や閂で閉ざしたように、閉め切ってしまう。」
風の神(シューツ)悪魔、妖精、幽霊バビロニア人は、風は悪魔が吹かすのだと信じている。南風はシューツという翼を持った悪魔が、吹かせている。
南西風の悪魔悪魔、妖精、幽霊最も恐ろしい風の悪魔。一度吹きおこると恐ろしい大暴風を伴い、洪水を起こし、多数の人間を犠牲として要求する。瞼のないぎょろぎょろ目、広いひらべったい鼻、気味悪く大きく開いた口、牙のように露出した歯、高い頬骨、太い眉、低く彎曲した前額を持っている。
ズウ悪魔、妖精、幽霊鷲の形の悪魔。夏季アラビア砂漠から吹く砂嵐はズウの仕業。雷神もズウにはかなわないが太陽には勝つことはできない。
ウラ悪魔、妖精、幽霊生者の敵、病気の悪魔。病気にかからないためにこの神(悪魔)を信じればよいと信じていた人々は熱心に祈っていた。この神が世の中のすべての生命を断とうと決心したのを知ると驚いて熱心に祈り続けた結果、自分の名を讃え自分の勇敢で偉大であることを称賛したものだけは許してやろうと言った。という伝説がある。
ニンツ悪魔、妖精、幽霊 母蛇。頭には角があり、左手には、胸にかじりついて、乳を飲んでいる赤子を抱いている。半人半蛇の悪魔。
「頭から腰まで、身体は、裸形の女の肉体だ。腰から足の踵までは、蛇の鱗が見えている」
シブ悪魔、妖精、幽霊人々の家を守護してくるれる優しい精霊。悪魔を撃退する。アヌに仕えている運命の精霊も、エレシュキガルもシブに追い返されることがある。悪い運命や死を免れることがある。
ダム悪魔、妖精、幽霊人間たちに優しい快い夢を送ってくれる精霊。悩みに苦しんでいる人を救ってくれる精霊。自分が好きになった病人には、健康を恵んで、病気を回復させてやるといわれている。女性の精霊。
メロダック大神(マルドゥーク、マルズク)バビロニア後期の諸神 諸神の王、エアの地位を奪って世界の創造者、人類の創造主となった。神々を導き悪魔の王チアワットを殺し、大地を女神の体から造り、人類を自分の血から創造した。バビロンの守護神、エアの町エリドの守護者。(エアの息子と呼ばれた原因)
シャマシュとも結びつけられる。太陽神の性質から全身に焔を放っている姿、深淵の上に立ち足元に角のある動物を踏んだ形などに描かれている。
「頭から腰まで、身体は、裸形の女の肉体だ。腰から足の踵までは、蛇の鱗が見えている「エアは運河のマルズクだ。ニニブは力のマルズクだ。ネルガルは戦いのマルズクだ。ザママは戦闘のマルズクだ。エンリルは主権と支配のマルズクだ。ネボは所有のマルズクだ。シンは夜の輝きのマルズクだ。シャマシュは裁決のマルズクだ。アダドは雨のマルズクだ。チシュパクは軍隊のマルズクだ。ガルは力のマルズクだ。シュカムヌは収穫のマルズクだ。」
ネボバビロニア後期の諸神 バビロンと向かい合ったボルシッパの首座神。メロダックと深い関係を持っていてメロダックの息子と呼ばれるようになった。
知恵の神、文字の発明者、天体の運行を説明する学問をつかさどる。ネボに使える僧侶は占星家として名を得ている。メロダックの神殿の運命の部屋では神々の言葉とか討論などを記録にのぼせる役を務める。
豊作の神、平野を灌漑する地価の水源を開く、飢饉や災厄を未然に防ぐ。
ネボ像は大きな口を開けている
タシュミットバビロニア後期の諸神 ネボの妻、聞き手、啓示などの意味。タシュミット像は偉大な耳を持っている。
二人とも野獣の角をつかんでいる姿(言論と沈黙の力を暗示していると思われている)
ハダッドバビロニア後期の諸神 シリアおよびパレスティナで暴風および雨の神として広く尊敬されている。手に火の剣(雷光を意味している)
ハダッド像は衣服の上に太陽の表彰があり、頭に太陽の冠をかぶっている
アッシリアのアッシュルではアヌと並んで尊崇され、一つの神殿に祭られている。アッシリア、バビロニアでは太陽神とされているが、根源地シリアではシリア、パレスティナの北方の山間に棲む雷神とされている。
イシュタルその他 空の神アヌ、月の神シン、ナンナルの娘といわれる。太初人間や世界を女神が造ったと信仰している人々から母神として敬われていた。
スメリアのニナ、アッシリアのニネベの女の魚神ニナはイシュタルと同一神。
病気を平癒させると同時にニン・スン、エレシュ・キ・ガル、アルラツと同じく破壊神。通常は天の女王として知られている。
次々に愛人を造り棄てた多情な女神。
アダパその他エアの息子、シューツの羽をもぎ取る。その罪をアヌに許される。
怪鳥ズウ要素運命の書物を盗む。月の神に騙され書物を奪い返される。
要素要素
要素要素
要素要素
要素要素
要素要素
要素要素

名前リスト

リストリスト
要素要素

各都市の代表的な神々

バビロニアでは一つの都市に一つの廟があり各都市でいずれも異なった神を祭っている。(エア=エルド市、ナンナル=ウル市、シャマシュ=ラルザ市とシッパル市)
国の消長は神の力であり、ある国が他国を攻め落とした場合はその国の崇拝している神が攻められた国の神に優ることを表すと考えた。
バビロニアでは河は生命の血の根源。魂の座席とされていた。また、血を神聖視していた。
生命の根源は呼吸、命の生気にあると信じられていた。
バビロニア人は呪文を唱えるとき、火の神と水の神に向かって唱える。
アヌは月の属性を持つとともに太陽の属性も持っていたといわれた。
それぞれの神の齎す恩恵はその神の及ぼす自然影響や人間への激励の働きによってきまる。
バビロニア後期、先住民の有する諸神、移入民族の齎した諸神、それらが一丸となって新しい神々を作り上げた。そして新しい神々は起こり古い神が威信を失墜することになった。

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黄金の威力

パルソンデスというペルシア人がいてメジア王に仕え巧みな狩人、優れた戦士として歩兵戦でも戦車でも立派な腕前で宮廷で力を持っていた。
パルソンデスはナンナロスの代わりにバビロニアの太守にしてほしいと頼んだ。ナンナロスは女の衣装や装飾をつけた男であった。
王は祖先の定めた掟を破ることになるため断っていた。ナンナロスはパルソンデスの企みを知り身の安全のため復讐を企てた。料理人に報酬と引き換えにパルソンデスをとらえて来いといった。
パルソンデスは猟に夢中になり王の許を離れた。すると王の食材を調達している料理人にあった。のどが渇いたとお酒を求めると料理もだしてくれた。そして捕まえた馬を王にあげ、家来に自分の居場所を伝えるように頼んだ。
王のもとに帰るというと美しい婦人がきて一晩泊まるように促した。深い眠りにつくと両人たちは体を縛ってナンナロスの許へ運んで行った。
ナンナロスはパルソンデスを女々しい奴だと罵り、太守の役を奪おうとしたことを責めた。パルソンデスは自分のほうが雄々しく太守の役もふさわしいと答えた。
ナンナロスはベルとミリッタの名に誓いパルソンデスを女より軟弱に色白くしてやるといい体を剃り毎日入浴させ髪に油をつけて女の着物を着せ、女たちと一緒に並ばせ女の業を会得させるよう宦官に命令しその通りに行った。
やがてパルソンデスはどんな女よりも巧みに踊ったり、歌ったりするようになった。一方メジア王はパルソンデスが見つからないため猛獣に殺されたと思って嘆いた。
パルソンデスは七年バビロンで女を演じた。宦官はナンナロスに笞刑にされ酷遇された。パルソンデスは宦官に贈り物をしメジア王へこのことを伝えるように頼んだ。
王はこれを聞きパルソンデスを引き渡すようナンナロスに言った。ナンナロスは白を切ったが第二の使者が来てパルソンデスを渡さなければ死刑に処すといった。
ナンナロスは使者をもてなし女の芸をみせどの女が美しくうまいか尋ねるとパルソンデスと答えた。パルソンデスは釈放された。
王はパルソンデスの姿を見るとそんな恥辱を受けるくらいならなぜ死ななかったのかと訊ねると、パルソンデスは王にナンナロスへ復讐を依頼したかったと答えた。
王はバビロンへ行くとナンナロスに諮問したがナンナロスは太守の役を奪おうとした復讐をしたと述べた。王はナンナロスが勝手に裁決し破廉恥な罰を与えたことを咎め十日間の間にナンナロスを審議するといった。
ナンナロスはミトラフェルネスという王の宦官で一番勢力があるものに命乞いし太守の役とりなしてくれれば10タラントの金と100タラントの銀と黄金の鉢十個と銀の鉢二百個を渡すと約束した。
さらに王へは100タラントの金と1000タラントの銀と黄金の鉢百個と銀の鉢三百個と高価な衣装その他の贈り物を用意し、パルソンデスにも100タラントの銀と高価な衣装を送ることにした。
ミトラフェルネスは手を打ち王に幾度も願い出た。王はこの願いを許した。ナンナロスは喜んだが、パルソンデスは「人間世界に、最初に黄金を持ってきた奴は呪われるがいい。私は黄金のおかげでバビロニア人の嘲笑のまとになった」と言った。
パルソンデスがナンナロスの勢力に屈したことを意味することであった。

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ジバルラの神話

ジバルラの忠実な従者イシュムはジバルラがユーフラテス河の峡谷にもたらした破壊を記述するために語った。「バビロンの子らを小鳥とすれば、あなたは鷹匠でございます。あなたは彼らを網の中へ入れて、閉じ込めて、殺しておしまいになった。おお勇猛なジバルラよ、町を後にして、あなたはずんずん外へ出て、獅子の姿になって、応急へおはいりなされました。人々があなたを見て、武器を抜きました。」
「何人をも許すな」というのがジバルラがイシュムに与えた命令であった。「恐れることも憐れむこともない。若者も老人もいっせいに殺して、バビロンのすべての財宝を奪ってしまえ。」
この命令を実行するため第一の市に大軍が派遣された。弓と刀で戦い、兵士にも住民にも悲惨な結果となった。
大神メロダックもどうすることもできず傍観して、力不足の自分を怒った。そして敵を呪った。
ジバルラは次にエレクの町に向かい他の軍隊を指名して進んだ。エレクの女神イシュタルは自分を尊崇する町が劫掠されるのを見た。メロダック同様どうすることもできなかった。
イシュムは軍神に「おお勇猛なジバルラよ、あなたは正しきものをも殺し、不正なものをも殺して罪のあるものもないものも殺しておしまいになった。」
イシュムはジバルラ神の戦争への欲望がいまだ癒されていないのを知っていたので今までかつてないような恐ろしい戦いを、世界と天をもひっくるめたものとして企てていた。それをジバルラに同意させるため
「シュル・パンズーの光を、私は破壊いたしましょう。私は木の根を引き裂いて、もはや花の開かぬようにいたしましょう。神々の王の住居に向かって、私は進軍いたしましょう。」
この言葉に煽られてジバルラは恐ろしい決心を叫んだ。「海岸は海岸に、スバルツはスバルツに、アッシリア人はアッシリア人に、エラミテ人はエラミテ人に、カシット人はカシット人に、スタイア人はスタイア人に、クテア人はクテア人に、国は国に、家は家に、人は人に向かえ。兄弟は兄弟に対して、なんの憐憫も示してはならぬ。互いに殺しあわねばならぬ」
ジバルラはさらに「進め、ししゅむよ。お前のいうことはわしの心にぴったりとあった。さあお前の言った言葉通りやってみろ。」
イシュムは命令に従い、軍隊をキキの山へ進めた。そして無類の戦士シビ神の助けを得て、カシュールの森とすべての葡萄畑を襲い、最後にインマルマオンの町を襲って、破壊した。
このことがエア神を怒らせた。そしてジバルラの怒りがとけて神々の会議で「皆さん、私の申すことをお聞きください。以前企てられた罪のために、私の心は怒らせられたのです。それで人々を皆殺しにしたのです。」と弁解した。
イシュムはそこで手を変えて神々の怒りを鎮めるようにジバルラに「大地の神々の怒りをお鎮めなさい。すれば果実も作物も豊饒になり、山も海も産物を出すでしょう。」と言った。
ジバルラは今までイシュムの言葉に従ったように今度も従った。そこで神々はジバルラに十分尊敬を捧げるものには、ジバルラ自身も繁栄と守護を与えるということで会議を閉じた。
「わが名を賛美するものは、世界を支配するだろう。わが力をたたえる物は無敵の者となろう。わが行為を謳う歌人は疫病によって死ぬことはなく、その言葉は、諸王や貴人の気に入るだろう。その歌を記して保存するものは敵の手から逃れ、人々が我が名を讃える神殿にあっては、その耳を開くであろう。この牌を掲げておく家におれば、たとえ戦いが起こり、シビ神が破壊をなすとも剣も疫病もそのものに触れることはなく、彼は安全に住むことができるであろう。この歌を永久に響かせ、永遠に伝えよ。すべての国々に、この歌を聞かせ、そして私の力を吹聴せよ。すべての国々の住民に、我が名を讃えることを知らせてやれ」

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アダパと南風の話

エアの息子アダパという英雄が船で魚釣りに行ったところ、南風のシューツが大風を吹かし船を転覆させた。アダパは陸まで泳ぎ着いたがいつもひどい目に合わせるシューツに腹が立ち復讐を誓う。
アダパがシューツに叫ぶとシューツは醜い身体で羽をパタパタと飛び笑った。アダパは怒って躍りかかり羽をちぎった。シューツは二度と大地の上を飛べなくなった。アダパはこのことを父のエアに話した。
七日たち、アヌは南風を待っていたがシューツは来ず雨も風も訪れなかったため、家来のイラプラットにシューツが自分の義務を忘れることがあったのか訊ねた。イラプラットはアダパとシューツの間で起きたことを話して聞かせた。
アヌはアダパを呼び出すようにイラプラットへ命じた。アダパはそれを聞いて恐れ支度をした。エアは神々の集いで死人の衣を纏いタンムーズとギシュジダが点の入口の道を守っているので十分に尊敬を捧げ挨拶し、二人の目が輝いたならばうまくとりなしてくれるため、天の近くでは言われるまま持ってこられた着物と油を身に付け、食物と飲料は死のご馳走と水なので食べないように助言した。
アダパは父に別れを告げて天の旅にでた。タンムーズとギシュジダが神々の住居の入口にいたためエアのいう通り謙遜な態度でいたため同情を得た。そしてアヌの前にでた。アダパはことのいきさつをすべて話した。アヌはタンムーズとギシュジダの説得もあり許し、永久に天界にとどまり神として迎えると伝えた。
アダパは感謝した。アヌは祝宴を開くように手配し、生命の糧と生命の水をアダパの前に置くようにいった。この食べ物と水が永遠に不滅のものとなるためのものだった。アダパは父エアにいわれた通り食べ物も水も飲まなかった。
アヌは食べ物と水をアダパに進めたが、アダパは父に食べ物も飲み物も飲んではならないといわれたと弁解した。アヌはエアが死のご馳走と死の水でアダパの生命を取ることをあらかじめ知っていたと悟り、アダパに着物と油を身に付けさせるようにした。
アダパはアヌに神にしてくれることを辞退し、アヌの好意を忘れないことを伝えた。アヌはアダパの考えが悪いものでないこと、アダパの思うままにしてもよいことを伝え平和に暮らすように言った。アダパは死の国の王エアの住居へ帰っていった。そこで幾年も平和に生き永らえた。

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ズウ鳥の神話

暴風の悪魔ズウは「運命の書物」を盗みすべての神の支配者になるという野心を起こした。「運命の書物」にはすべての神々、すべてのものの運命がかかれている宝物、全宇宙を支配できる力がある。この書は神々の王ベルが秘蔵していた。ズウは苦心の果て書物を盗み出すことに成功した。
ズウ鳥はアラビアまで逃げ飛んで行った。とある山の頂に誰にもわからない場所を見つけ隠れた。アヌはこのことを知ると、立腹して雷の神ラムマンへズウから「運命の書物」を取り返すように頼んだ。ラムマンはアラビア山へ行ったがズウの恐ろしい姿を見て逃げ帰った。
アヌは次々に様々な神に言いつけたが誰もズウと戦おうとしなかった。しかし月の神がアラビアの山へ行きズウをだまして運命の書物を取り戻すことに成功した。

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「鷲と蛇」の神話

一羽の鷲が母蛇の子をとらえて食べた。母蛇は鷲の無情な行いを呪って、太陽神シャマシュに仇をとってもらうように訴えた。鷲の行動は神の掟に背くものでシャマシュは鷲の運命を定めて復讐させるようにした。母蛇に一匹の野牛を屠りその臓腑の中に隠れているように命じた。
母蛇はシャマシュのいった通りにした。鷲がこの野牛の死体を見つけた。鷲は早速飛んで行って肉を食べようとしたが、小鷲は母蛇が隠れているといって止めた。しかし鷲は聞かずに肉を調べて中に入った。そこで母蛇は羽を抑えた。鷲は許しを乞うたがシャマシュの定めた運命の執行者であったため鷲の羽を抜き翅をもぎ、爪を引き抜いて谷底へ投げ込んだ。鷲は谷底で飛び上がることもできず飢えと乾きによって死んだ。

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月と悪魔

地上に多くの悪魔が飛び回っていた。悪魔が月をめがけて飛んでいきその光を包み隠し真っ暗にしてしまった。月の神シンの父ベルはこれを見て伝令神を呼びシンが暗くなったためエアに救いを願うように命じた。
伝令使は大海の底のエアの神殿へ駆けつけた。そしてベルの言いつけを伝えた。エアはメロダックに月の危難を救わせるようにした。エアはメロダックに網を渡してこれで悪魔をひっ捕らえて来るように命じた。網は子山羊の毛と子綿羊の毛を使った二色の糸で編んだもの。メロダックはその網で悪魔を退治した。

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イシュタルに捧げる讃歌

あなたに私は叫びます、おお神々の夫人よ。夫人中の夫人よ、たぐいなき女神。
すべての人間の生命を形作ったイシュタルよ。
荘厳なる世界の女王、天空の主権者たるあなたよ。
また空の主なる女神よ。あなたの名前は輝き渡ります。
大地の上に、気高き輝きを閃かせる、おお光の神よ。 月の雄々しい娘よ、おお!お聞きください。
あなたは私どもの武器を左右し、激しき戦いに勝利を意のままにお定めなさいます。
おお冠絶セル霊妙なる運命よ。
あらゆる神々の上に君臨する。
至高なるイシュタルよ。あなたは悲しみをもたらします。
あなたは敵意をもって、私たちの兄弟どもを争闘へと狩り立てます。
あなたは強者なるが故に、力をお授けくださいます。
あなたの意志は、性急で少しの躊躇も忍び得ません。
あなたのお手は狂暴です。戦を身に鎧い、恐怖の衣を身につけた戦いの女王、あなたこそは。
運命の杖の把握者たるあなたは。点も血もあなたの支配の下におきます。
あなたはあらゆる聖なる場所で尊崇されています。
神殿でも、聖なるお住まいでも、また社でも。
あなたの名前が、どこで賛美されないでしょう?
あなたの意志が顧みられぬ、またあなたのお姿が造られぬところが、どこにありましょう?
あなたの神殿のたてられぬ所は、どこにありましょう?
アヌとベルとエアの諸神は、あなたを、崇厳に協力に、卓越な地位にまで引き上げられました。
神々はあなたをすべての神々の上に。またすべて空の王の上に、お造りなさいました。
おお荘厳なる女王よ。あなたのお考えで、全世界は恐怖に満たされます。
空の神々は戦慄し、そして地上では。すべての精霊が止まります。
そしてすべての人類が。
あなたの名前を崇敬して、頭を垂れます。おお裁き手なる夫人よ。
あなたのなさり方は浩平で、聖くあります。
あなたは罪びとを同情をもって見つめてくださいます、そして毎朝正しい道の方へと導いてくださいます。
どうぞ躊躇なさらずと、お出でくださいませ、おお聖なる女神よ。
おお、すべてのものの牧人よ、あなたは。疲れ知らぬ足を持て、身近くおいでなさいます。
あなたは。あなたの下婢どもの束縛をお断ち下さいます。
あなたが同情を以て。瀕死の者の上に身をお屈めなさると、おおご覧ください!
その者たちは生き永らえます。また病人があなたのお姿を拝みましたなら、病は癒えます。
私の、あなたの僕の、言うことをお聞きください!
私の祈りをお聞きください。私は悲しみに満たされ、私は。
ひどい災難で吐息をついております。涙を流しながら、私はあなたをお待ちしております。
憐れみ下さいませ、私の夫人よ、情けをおかけください。
そして「もう好い、慰めてやろう」とおっしゃって下さい。
どれほど長い間、私の心は悲しみ、嘆き。
そして不安を忍ばねばなりませんのでしょう。
どれほど長い間、私の暗い家は。
嘆きに満たされ、そして私の魂は悲しまねばならぬのでしょう。
おおそらの雌獅子よ、私に平和をお授け下さい。
また平和と安易とをお授け下さい。私の祈りをお聞き届けて下さい!
怒りを含んだ情けでございますか?
情け深いお眼で、祝福を下さいますお眼で小見おろし下さい。
そして、あなたの下僕をお見守り下さい。おお、お情けを下さい。
私の叫びをお聞き届け下すって。私を、悪魔の呪いから解放してください。
私に栄光が見られますように。
おお、どんなに長い間。これらの私の敵は、私を追い回し、悪を働き。
そして私から歓喜を奪い取りましたろう。
おお、どんなに長い間。悪魔たちは私を取り巻いていたことでしょう。
そして果てしなき悩みを起こしたことでしょう。
私はあなたを尊崇します。力のみ恵は、あなたからです、そしてあなたは強者です。
弱者も強者とされます、しかし私は弱者です。
おお私のいうことをお聞きください!
私は悲しみに圧倒されております。
この邪悪な風に起こされた悲しみの洪水は、私を危殆に陥れました。
私の心は鳥のように羽に乗って逃げ去ってしまいました。
そして私は鳩のように嘆いております。
目から涙が。空から降る雨のように落ちております。
そして私は欠乏し、不幸に満ち満ちております。
私はあなたが私を捨て去ったような、どんな悪いことをいたしましたろう?
私は私の神なるあなたを尊敬することを怠ったのでしょうか?
おお私をお救い下さい。そして私のすべての罪をお許しください。
私にあなたの愛が得られ、またあなたのお手の中に見守られますように見守られますようにそうしてあなたの抱擁を広く、あなたの囲いを堅固なものとして下さい。
あなたは何時までお怒りなさるのでしょう、私の涕泣をお聞きください。
そして再び私のすべての道を栄光に向けてください。
おおあなたの怒りを引き退かして下さい、涸れ涸れて行く流れのようにも。
それから私の敵を打ち滅ぼして下さい。
そして私に悪をする彼らの力を取り除いてください。
そうすれば私に彼らを踏みつぶすこともできまする。
私の祈りをお聞き届け下さい!そして私が見まするすべての人々が、あなたを賞讃し、あなたの名前を吹聴しますように、祝福をお恵み下さい。
その時私はあなたの力を、すべての上に掲げまする。
イシュタルは至高だ!イシュタルは女王だ!イシュタルは比類なき月の娘だ!

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